会長ご挨拶

会長 井上法雄
会長就任のご挨拶
この度、島田会長の後を引き継ぎ会長に、就任させていただきました。
今、世界は大きな変化を迎えております。デジタル化による社会基盤の変化、日本の抱えている潜在的な課題、思いもよらなかったコロナ感染拡大、そしてロシアの軍事力によるウクライナ侵攻による世界情勢の変化。私達日本人にとっては、今日本にも迫りつつある身近な大きな問題として捉えることが必要であり、ユネスコ協会として、どう連携し、どう行動していくかを考えるべき時かと思います。
ユネスコの会員要綱にも「世界の平和と人類の幸福を永遠なものにする」とありますが、ふたたび、世界情勢は混沌の時代へと向かいつつあります。ユネスコの理想は「人間の知性・道義的連帯の上にのみ築かれるものである」と記されております。今まさに、世界に目を向けこの変化の時代を、私どもユネスコ協会が知性を結集し思いを共有して、正しい心と判断で連帯していくことが求められているのではないかと思います。
世代を超え、多くの人の共感と協力により、今の時代に合ったユネスコ活動を多くの方々に知っていただき、活動の輪を広げていく、そして、その活動の基盤として、会員の皆様、そして役員の皆様の大きな思いとお力添えが必要です。
私自身ユネスコ活動の経験が浅く、活動について十分に理解ができておりません。思いはあっても、皆様方にお力添えをいただかないと、会の運営自体が成り立ちません。
いままで多大な貢献をされてきた島田会長のご退任は、誠に残念ではありますが、会の皆様、そして、島田会長の意思を引き継ぎ、できる限りの貢献をしてまいりたいと思います。
一年間は、会の運営を経験し引き継ぎながら、次の活動に向け準備をしていければと考えております。
ぜひとも、皆様方の変わらぬご支援と協力をお願い致します。
鳥取ユネスコ協会 50周年記念式典
2025年6月28日
鳥取ユネスコ協会は、1975年の設立以来、地域に根ざしたユネスコ活動を50年にわたり続けてまいりました。
私たちは、ユネスコが掲げる理念「教育・科学・文化を通じた平和の推進」をもとに、
国際理解、多文化共生、環境教育、平和学習などを地域社会で実践してまいりました。
ユネスコは第二次世界大戦の反省を踏まえ1945年に創設されました。
「戦争は人の心の中で生まれる。だからこそ、心の中に平和のとりでを築かなければならない」
この理念は、今も私たちの活動の原点です。
日本は1951年に加盟し、戦後の混乱の中、1947年には民間ユネスコ団体による草の根のユネスコ運動が始まっていました。
戦争を経験した人々が、子どもたちの未来のために立ち上がったその精神は、今も私たちの活動の礎となっております。
本日は、鳥取環境大学 学長 小林朋道先生より「子どもの成長にとっての自然の大切さ」についてご講演いただきます。
自然とのふれあいが子どもたちの心を育てるというメッセージは、今の時代にこそ必要な視点です。
また、「山陰海岸ジオパーク絵画展」では、長年ユネスコ活動に貢献されている吉田ちほこ副会長による
山陰海岸の自然を描いた作品が展示されています。
自然と文化を守り、未来へつなぐことの意味を感じていただければ幸いです。
第2部では、ユネスコスクールやESDに取り組む学校・団体の皆さまによる発表もございます。
未来を担う若者たちの声に、ぜひ耳を傾けてください。
私たちはこの50年の歩みを誇りに思うと同時に、次の50年に向けて、地域と世界をつなぐ存在として、柔軟に、創造的に歩んでまいります。
近年、当協会では、日本のいろいろな会での共通の問題でもあると思われる、会員の高齢化と会員数の減少という課題にも直面しております。
50周年を機に、この貴重な活動の灯を次世代へ繋げていくために、若い世代や地域の教育機関と連携し、ユネスコの理念を受け継ぎながら、新たな形での活動を模索してまいります。
今後、鳥取ユネスコ協会では、地域に根ざしつつ、ユネスコの理念をより具体的に実現するため、重点的な取り組みといたしまして:
・鳥取県との連携のもとで、「SDGsパスポート」の発行に取り組みます。
持続可能な社会を担う人材の育成を目的に、楽しみながらSDGsを学び、実践できる仕組みです。学校や地域活動と結びつけることで、幅広い世代にSDGsの浸透を図ります
・鳥取環境大学の千代西尾先生のご協力のもと、環境大学の学生と岩美町の3つのユネスコスクールの児童・生徒が協働し、山陰海岸ジオパークと連携した自然体験・学習活動を展開してまいります。
山陰海岸にジオパークと連携した自然体験・学習活動を展開してまいります。これにより、自然の尊さや持続可能な地域づくりへの理解を深めることを目指します。
・さらに、鳥取ならではの伝統や美意識を発信・継承する取り組みとして、鳥取民藝や麒麟獅子舞などの地域文化の紹介や記録、体験の場づくりにも力を入れていきます。文化遺産の魅力を若い世代に伝え、地域の誇りにつなげていく活動です。
ITの活用も重要な柱です。吉井様によるシニア向けAI教室や、足利先生の子ども向け科学教室など、世代を超えたデジタル・サイエンス教育の機会を広げることで、学びの可能性を広げます。誰もがデジタル社会に参加できるような支援を進めてまいります。
また、鳥取ジャズとの連携を通じて、ジェンダーにとらわれない平和のメッセージを広げる活動も行います。音楽という共通言語を活用し、多様性と調和の価値を市民と共に体感できる場を創出します。
そして、これまでは当協会独自の活動が中心でしたが、今後は中国ブロック・ユネスコ連絡協議会の鈴木会長との連携のもと、日本ユネスコ協会連盟との共同事業や広域的なネットワーク構築にも取り組んでまいります。
これらの活動を柱として、鳥取ユネスコ協会は、地域と世界をつなぐユネスコ運動の拠点として、実効性ある取り組みを展開してまいります。
今後とも、皆さまのご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
最後に、これまで当協会の活動を支えてくださったすべての皆さまに、改めて心より感謝申し上げます。
皆さまには、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。